2019年2月18日

食パンの冷凍保存方法に関して

昨今のテレビ番組で取り上げられました食パンの冷凍保存方法に関し、いくつかお問い合わせをいただきましたので、当協会での見解をまとめさせていただきます。
まず大前提として、パンという小麦製品の物性の特徴および老化のメカニズムをご理解いただき、そのうえで老化(硬化、乾燥等)を防ぐための方法を各自にご選択いただくのが望ましいと考えます。

食パンの美味しさを長く保つには、適切な温度帯で「正しい包装」で保存することが重要です。 適切な温度帯については、パンに含まれるデンプンの老化を早く進めてしまう冷蔵温度帯での保存は避けます。常温(15~25℃)または、冷凍(-18℃以下)での保存が望ましく、特に長期保存については、腐敗などの変質を防ぐため冷凍温度帯での保存が良いでしょう。

【冷凍保存について】
冷凍庫内で長期保存する場合、水分を多く含みしっとりとしたパンの食感や美味しさを保つには、「乾燥を防ぐこと」「冷気から守ること」の2点が重要なポイントになります。
乾燥を防ぐには、食パン内の水分が逃げないように非通気材でしっかりと密封包装させます。特に、表面の乾燥や臭い移りを防ぐためにも、パッケージの素材は「非通気材かつ密着維持できる素材」を選ぶことも大切な条件となります。
次に、冷凍庫内の冷気による乾燥を防ぐために、耐寒性のある素材を使用し、脱気した包装を行います。

具体的な方法は下記のとおりです。

①ラップ等の非通気材で密着包装する。(密着に適したラップ素材で、1枚ずつしっかり包装する)

②-18℃以下の耐寒性のあるビニール袋(ポリエチレン等)に入れて、脱気してから封を閉める。
冷凍庫内は常温と違い、循環する冷気がビニール素材を通過して冷凍乾燥する恐れがあるため、必ず耐寒性のあるビニール素材を使用した「ダブル包装」が望ましいと考えます。
もう一点補足として、業務用の急速冷凍庫とは違い家庭用の冷凍庫は緩慢凍結になりやすく、さらにドアの頻繁な開閉や霜取り機能により、温度帯が非常に不安定であるため、品質が劣化する恐れがあります。そのため冷凍後2週間程度で食べきることが望ましいといえます。

【アルミ箔を使用した保管について】
気体の透過度が少なく熱伝導率に優れたアルミ箔を、上記のダブル包装に「併用」することで、より効果を得られる可能性があります。ただし、アルミ箔はビニール素材と違い、破れやすく吸着性がない性質のため、アルミ箔単体での包装による冷凍保管は望ましく無いと考えます。
上記で述べた通り、乾燥と冷気から守るダブル包装と併用することにより、アルミ箔が持つ利点をより生かすことができるのではないかと考えます。

パンは生鮮食品ですので、新鮮なうちに食べきることが最も望ましいですが、時間的な都合でどうしても保存しなければならない場合は、各自、各家庭で適した方法で実施していただければと思います。

以上