毛利将人さん
おいしいパンと食べ方を探す楽しさを感じてほしい
パリの16区をイメージして作られた店舗
看板パン3種。奥から時計まわりにクロワッサン(\230)、焼きカレーパン(\280)、クリームパン(\150)
自家製のジャムは、苺、梅、フランボワーズなど7種類
ラインナップはハード系からデニッシュ系まで幅広い。焼き菓子やサンドイッチも並ぶ
おいしいパン屋さん激戦区といわれる代々木上原駅界隈。2008年12月にオープンしたのが、「Boulangerie et Café Main Mano」だ。
看板パンは、仕込みから焼き上がりまで丸3日かけて作られる「クロワッサン」。フランス産の発酵バターと塩など、素材の風味がしっかり感じられ、それでいてまろみのある落ち着いた味わいにファンが多い。
オーナーシェフの毛利将人さんは、パリの老舗ホテル「オテル・ド・クリヨン」で製パンのシェフを務めていた経歴の持ち主。ホテルのデザートで使っていたカスタードクリームをそのまま使った「クリームパン」や、スパイシーなキーマカレーともっちりしたフォカッチャ生地がマッチする「焼きカレーパン」は、クロワッサンと並ぶ人気を誇る。
先輩や師匠から学んできたことが凝縮されて資格になった
「オテル・ド・クリヨン」のほかに「リーガロイヤル東京」でも製パンに携わっていた毛利さん。パンのスペシャリストである彼にとって、パンコーディネーターという資格はどのような意味を持つのだろうか。
「パンの歴史から素材のことまで、今まで僕らが先輩や師匠から教わってきたことが凝縮され、ひとつの資格としてまとまったように感じますね。だから、僕にとってはおさらい的な意味がありますし、これからパン屋さんを目指す方には、いい勉強になると思います」
「Main Mano」では、販売マネージャー高橋さんも、パンコーディネーターの資格を持つ。毛利さんとは認定講座で知り合い「Main Mano」で働くことになった。彼女について毛利さんは、「販売スタッフは、すべてのパンを自分で食べて把握して初めて、おすすめのパンや売れ筋のパンを紹介できると思います。彼女は、売る専門であり、食べる専門。他の販売スタッフの誰よりも、パンの知識は豊富ですね」
一方的な提案ではなく好みを見つけるお手伝いを
おいしいパンの楽しみ方についてアドバイスするのもスタッフの仕事だが、逆にお客様から食べ方を提案されることも多いという。
「この辺りはパン屋さんが多いうえに、外国人の方も多く、パン食の文化が習慣として根付いているようです。みなさん食べ方については本当によく知ってらっしゃいますね。
うちではパンの食べ方を提案することは少ないんです。というのは、素材のおいしさを知っていただきたいから。そして、お客様に自分で見つける楽しさを味わってほしいから。たとえばハード系のパンとクリームチーズのマッチングを提案するときも、銘柄指定はしません。クリームチーズならなんでもいい、ご自分の好みを探してほしいんです。そのきっかけとして私たちの提案があると思うので」
スタッフの提案が、お客様を縛ってしまわないように。毛利さんの言葉からは、パンを食べることを心から楽しんでほしいという真摯な気持ちが伝わってくる。
<おすすめの食べ方紹介>
タテ割りバゲットをバター&ジャム&コーヒーで堪能!
フランスでは一般的で、毛利さんも大好きというバゲットの楽しみ方。香ばしさとまろやかさ、甘酸っぱさがバランスよく同居して、やみつきになるおいしさだ。「納豆かけごはんや猫まんまのような感覚。好きなだけ塗ってざぶっとつけて豪快にどうぞ」と毛利さん。
店舗情報
住所 :東京都渋谷区西原3−6−5 CRD代々木上原1F
電話 :03−6416−8022
営業時間:8:00〜20:00 カフェは〜19:30(LO)
定休日 :火曜日
アクセス:小田急小田原線代々木上原駅北口2番より徒歩1分
http://www.mainmano.jp
プロフィール
毛利将人(もうり・まさと)
12歳より今でも師と仰ぐ某人気店のシェフからパン作りを教わる。パン作りの面白さや奥深さに開眼、同師の店でパンを作り続け21歳で渡仏。パリで5つ星の名門ホテル「オテル・ド・クリヨン」で、日本人として初めて製パンシェフに就任する。その後イタリアやベルギーでも修行を重ねる。帰国後リーガロイヤルホテル東京で3年間シェフを務め、2008年12月に「Boulangerie et Café Main Mano」をオープン。